恥ずかしながら、数年前、経営している会社が不況のあおりをうけ、売り上げが激減した際、資金繰りがまったくできなくなったのです。
「このままでは、だめだ。何か売り上げに貢献できるものはないか?」
そう考えたものの、戦力になる社員を雇う金もなく、広告費をだすお金を切り詰めるわけにもいかず、このままいけば社員の給料さえ出せない状態になるのは目に見えていました。
新しいスタッフが雇えないのなら、自分ひとりの決断でできる株式投資をもう一度やろうと決心したのです。実は、以前、バブルで大きな損失を被り、それ以来本業だけで資金を作ろうと思ってがんばってきたのですが、状況的にそうもいってられない状態だったのです。
手持ち資金だけでは足らず、会社の運転資金も使いながら、合計300万円の資金で新興企業の株を購入。時期がよかったこともあり、2003年、2004年の2年間で、資産を2,500万円まで増やすことに成功したのです。
投資の世界でも、資産を毎年増やし続けることが非常に難しく、そんななかでも、幸運にも順調に資金を増やすことができたのです。
その後も投資を続け、とうとう私の資産は5,000万円近くまで増えていったのです。
本当に、順調そのもの。
このままいけば、億が見えてくる・・・。
「よしっ!これで1億がみえてきたぞ。一気に儲けてやる!!」
安堵感よりも、有頂天になっていたのでしょう。
ついに、その日がやってきたのです。
いつものようにその日の株式市況をチェックし、友人宅に遊びに行っていたときでした。
夕方のニュースを見たとき、一瞬にして凍りつきました。
「ライブドアが、証券取締法違反の容疑で、東京地検特捜部の捜査が入った」
そうあの、ライブドアショックです。
振興株の好調で有頂天になっている私を一気に襲ってきたのです。確かに、私は、ライブドア株を購入したわけではなかったはず。しかし、ライブドア系列のダイナシティ株を信用買い(自分の資金や株を担保に手元にある資金以上の投資を行うこと)していたのです。
ライブドアの情報を受け、ライブドア関連の株がどんどん下がってきたのです。
次の日から、あまりの下げっぷりに狼狽しながらも、成り行き(いくらでもいいから売り)で売ろうとしたのですが、もうこうなると買う人がいません。株式の場合、この値段株を売り人と、買いたいと思う人がいて成り立ちます。もちろん、こんな情報が流れて買いたいと思う人などいません。当然のようにどんどん根が下がっていき、連日、ストップ安。
取引が一向にできない状態が続いていったのです・・・
値がついたのは、なんと3日後・・・
信用取引で売買していたので、当然、ストップ安が続いたあと、残りの現金を必ず証券会社に振り込まなければなりません。そう、追証が発生するまでになったのです。
この取引で最後に残ったもの・・・。
それは、1,500万円の借金だけだったのです。またしても、株式の市場から退場を余儀なくされてしまった瞬間でした。
失意で呆然とする毎日・・・あたまに浮かぶのは、妻と子供の顔。生きる気力も失い、カーブを曲がらずこのまま突っ込もうかともおもったこともありました・・。
しかし、自分が犯した失敗で妻と子供まで犠牲にするわけにはいかない。そう思えるようになり、必死で本業をがんばったのです。借金はあるものの何とか生活はできるようになり、精神的にも落ち着きを取り戻した私は、
「いつか必ず株の世界で取り戻してやる!」
そんなことばかりを毎日考えていました。 |